フィリピンからNBA、そしてBリーグへ。Pinoy Stepの普及と、それに対応するディフェンス

NBAやBリーグでも見られるようになった「Pinoy Step(ピノイステップ)」。フィニッシュ技術の歴史から、実際のプレー、そしてブロックを狙うディフェンスとの駆け引きまで、動画を交えて解説します。

フィリピンからNBA、そしてBリーグへ。Pinoy Stepの普及と、それに対応するディフェンス

近年、NBAやBリーグでは、さまざまなステップワークを使ったフィニッシュが見られます。

ユーロステップや、通常よりも早いタイミングでシュートを放つワンステップレイアップなど、選手たちはさまざまな技術を使い分け、シュートを放っています。

そんな中、最近NBAやBリーグでも見かけるようになったのが、今回紹介する「Pinoy Step(ピノイステップ)」です。

実は、このPinoy Stepには面白い歴史があります。

今回は、Pinoy Stepがどのように広まってきたのかを振り返りながら、NBAやBリーグで実際に使われているプレー、そしてそのステップに対応するディフェンスまで紹介していきます。

ピノイステップとは?

ピノイステップは、レイアップの途中でボールを上に持ちあげシュートフェイクを入れるフィニッシュ技術です。

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基本的には、1歩目で大きくボールを持ち上げてシュートを打つと見せかけ、2歩目で位置を変えてフィニッシュします。

ボールフェイクでディフェンスを跳ばせて、ブロックをかわします。

また、レイアップの際にあえてスピードを落とし、ディフェンスのブロックのタイミングをずらす「ディゼルステップ(decel step)」組み合わせて、2歩目にボールフェイクを入れるパターンもよく使われています。

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フィリピンから世界へ広がったPinoy Step

「Pinoy」は、フィリピン人を指す言葉です。その名前の通り、ピノイステップはフィリピンのバスケットボール文化と深く結びついています。

NetsDailyが2023年に公開した記事では、この技を使っていた選手の一人として、キーファー・ラベナが紹介されています。

「キーファー・ラベナは、この技術の先駆者の一人として評価されている」

出典:Lucas Kaplan(2023)『The history of ‘Pinoy step,’ Mikal Bridges’ new favorite move』NetsDaily

現在はBリーグの琉球ゴールデンキングスに所属するラベナですが、学生時代からPinoy Stepを使用している動画があります。フィリピンで広まったこの技術は、次第にNBA選手たちにも取り入れられるようになりました。

ラベナの高校時代のピノイステップ⬇️

NBAではドンチッチやミカルブリッジズ、ザックラビーン、ハリバートンやポッズといった名だたる選手もよくこのステップを使用しています。

同記事では、ブリッジズやハリバートンがラビーンのプレーから影響を受けたことも紹介されているので、是非見てみてください。

Bリーグでも使われるようになったPinoy Step

このPinoy StepはBリーグでも見られるようになりました。

特に有名なのは、2026年3月のEASLで琉球ゴールデンキングスの佐土原選手が見せたプレーです。アルバルク東京との3位決定戦、琉球が1点を追いかける試合終盤。

佐土原選手はゴール下でシュートフェイクを入れてディフェンスを跳ばせ、決勝点となるレイアップを決めました。

試合後、チームメイトは会見でこのプレーを「Sado Step」と呼び、主催のEASLもSNSでOKINAWA StepやSado Stepとして紹介しました。

BリーグでPinoy Stepを使用しているのは、佐土原選手だけではありません。
川崎ブレイブサンダースの荒谷選手も、速攻の場面でこのステップを使用しています。

前述したDecel StepとPinoy Stepを組み合わせ、外国籍選手のブロックをかわしフィニッシュしています。

Bリーグでは、ゴール下に身長やリーチで勝る外国籍選手が待ち構えている場面も少なくありません。そうした相手に対して、正面からシュートを打つのではなく、タイミングをずらしてフィニッシュするPinoy Stepは有効な選択肢になります。

また、宇都宮ブレックスの比江島慎選手もPinoy Stepを使用しています。

この場面では、シュートフェイクにユーロステップを組み合わせて、ディフェンスのブロックをかわしています。

Pinoy Stepに対応するディフェンスも

ここまで紹介してきたように、Pinoy Stepはディフェンスのブロックをかわすうえで非常に有効な技術です。

しかし、オフェンスがこのステップを使うようになれば、当然ディフェンスも対応してきます。

最近では、1歩目のシュートフェイクに跳ばず、2歩目のフィニッシュを狙ってブロックするプレーも見られます。実際に、琉球の佐土原選手が群馬戦でブロックされた場面を見てみましょう。

佐土原選手は、先ほど荒谷選手がやっていたようにdecel stepとPinoy stepを組み合わせて、二歩目でボールを大きく上にあげてフェイクをします。

しかし、ヘルプに出た群馬の15番エドゥ選手はそのフェイクでは跳びません。そして、佐土原選手がシュートを放つまで待ち、ブロックをかまします。

佐土原選手はPinoy Stepを多用していることもあり、事前にスカウティングして読まれていたんじゃないかと推測します。

このように、Pinoy Stepが認知され始めディフェンスも対応をしてくるようになってきています。

フィニッシュ技術とディフェンスの進化が生む駆け引き

フィリピンで親しまれてきたPinoy Stepは、今ではNBAやBリーグでも使われるようになりました。そして、その動きに対応するようなディフェンスも見られます。

もともと、ディフェンスのブロックをかわすために使われてきたワンステップでのフィニッシュ。そのタイミングにディフェンスが合わせてくるようになれば、今度はPinoy Stepのようにフェイクを入れて、もう一歩進む技術が使われる。

そして、Pinoy Stepを警戒して2歩目まで待つディフェンスが増えれば、逆にワンステップで早く打つフィニッシュが有効になるかもしれません。

一つの技術が広まれば、それに対応するディフェンスが生まれる。そして、そのディフェンスを攻略するために、また新たな技術が使われるようになる。

ワンステップで打つのか、もう一歩進むのか。

たった2歩のレイアップにも、オフェンスとディフェンスの駆け引きが詰まっています。

こうした技術の進化と、その裏にある駆け引きを知ることで、バスケットボールはもっと面白くなっていきますね…!

選手におすすめのPinoy Stepに関する動画⬇️