うまくいった攻撃を、繰り返す。NBAの死闘から学ぶオフェンスの考え方

NBA・ロケッツvsスパーズの一戦から、「相手が対応するまで、うまくいったオフェンスを続ける」という考え方を紹介。シェングンを起点に繰り返した攻撃を、実際のプレーを交えて解説します。

うまくいった攻撃を、繰り返す。NBAの死闘から学ぶオフェンスの考え方

セットオフェンスで相手を崩し、得点できた。その次の攻撃で、あなたがHCやポイントガードなら、どんなオフェンスを選ぶだろうか。

そんなとき、NBAの一場面が、一つの選択肢を教えてくれる。

「うまくいった攻撃を、もう一度使う」という選択だ。

ロケッツ対スパーズの第4Q終盤。ロケッツは、なんと複数回にわたってセンターのアルペレン・シェングンを起点とした攻撃を続け、得点を重ねた。中心にいたのは。シェングンはこの試合、29得点、7リバウンド、7アシストを記録した。

ロケッツはどんな攻撃を繰り返し、スパーズの対応にどう返していたのか。実際のプレーを見ていきます。

シェングンのポストプレーからバスケットカウント

始まりは、シェングンがルーク・コーネットをポストで攻めた場面だった。

シェングンが#5フレッド・バンブリートにダウンスクリーンをかけ、ウィングへ上がらせる。スクリーンの後はポストアップ、バンブリートからパスを受けた。

ゴール付近でボールを受け、1on1を仕掛ける。シェングンはシュートを決めながらファウルも受け、バスケットカウントを獲得。

スプリットアクションからのダイブ

ロケッツは次の攻撃でも、シェングンへボールを集める。

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シェングンにパスを出した後、ロケッツは少しオフェンスに動きを加えた。パスを出した#5バンブリートに、隣の#1アメン・トンプソンがスクリーンをかける。ポストにボールを預けた後、外の選手同士でスクリーンプレーをする「スプリットアクション(Split action)」だ。

スパーズは、スイッチで対応。その瞬間スクリナーのアメンがリングへダイブ。シェングンからパスが通り、得点につながった。

ロケッツは続けてこのスプリットアクションの形を、もう一度使う。

スプリットを守られたら、シェングンの1on1

今度のスパーズはスイッチしなかった。それぞれのマークについていき、先ほどのようなダイブでの得点を許さない。

すると、外の2人は離れていきスペースを広げる。シェングンのスペースが空き、もう一度コーネットとの1on1になった。ここでもシェングンはファウルを獲得し、フリースローにつなげた。

スパーズは選手交代し、ウェンバンヤマをシェングンにつける

シェングンを止められなかったコーネットは交代し、ウェンバンヤマがシェングンにマッチアップをする。ウェンバンヤマの身長は220cm。シェングンの方がフィジカルに押し込むことはできるが、シュートを放ってからブロックすることもウェンビーならできる。そういう思惑があったと予測。

ウェンバンヤマにマッチアップされたが、ロケッツは同じ攻撃を続ける。スプリットアクションでノースイッチ、もう一度シェングンの1on1へ。

シェングンはタイミングをずらし、見事得点を決めた。

ディナイへのカウンター。ハイロープレー

スパーズは、さらに守り方を変えた。シェングンの前に立ち、ポストへのパスを遮断する。そもそも持たせない対応へと切り替えた。

それまでのようにウィングからパスを入れられない。ここでロケッツは、ハイポストにいるアメンへ角度を変えて、そこからゴールに近いローポストのシェングンへ。

高い位置から低い位置へパスを投げる「ハイロー」で、カウンターが見事に決まり、またバスケットカウント。スパーズのポストへの対応を見て、チーム全体でカウンターを作った。

その次も、ロケッツはシェングンを起点にしようとした。ただ、今回はボールへのプレッシャーと厳しいディナイによって、スムーズに始められない。再びアメンにボールが渡ったものの、ハイローにはつながらず、そのままアメンの1on1からターンオーバーになった。これでシェングン起点のプレーは終了。

うまくいった攻撃を、もう一度

今回のロケッツは、同じ選手を起点に攻めながら、その中で選び直していた。

実際の試合では、前の攻撃を覚えておくだけでも簡単ではない。得点した直後には守備が始まり、次々に判断を求められる。その中で「さっき、どこで有利に攻められたか」を次のオフェンスに持ち越す必要がある。

シェングンがポストで得点。ディフェンスが対応したらカウンター。上手くいかなくなるまで、チーム全員で共通認識を持ってやり続ける。

一つの成功を、その場限りで終わらせない。今回のロケッツの攻撃には、その徹底ぶりがあった。