なぜ千葉はオフェンスリバウンドを39本も奪われたのか?富山vs千葉から学ぶリバウンドの重要性

千葉ジェッツvs富山グラウジーズの2連戦から、リバウンドの重要性を解説。ゾーンディフェンスでのボックスアウトの責任、ボールウォッチやポジショニングなど、富山がオフェンスリバウンドを獲得できた要因を映像から考察します。

なぜ千葉はオフェンスリバウンドを39本も奪われたのか?富山vs千葉から学ぶリバウンドの重要性

2026年10月31日、11月1日に行われた千葉ジェッツvs富山グラウジーズの2連戦。

富山がGAME1を100-93、GAME2を83-78で勝利し、2連勝を飾った。

個人的に特に印象に残ったのが富山のオフェンスリバウンドだ。

富山はGAME1で23本、GAME2で16本。2試合合計39本ものオフェンスリバウンドを獲得した。

富山には強力な外国籍ビッグマンが揃っている。しかし、試合を見返してみると、単純な高さやフィジカルの差だけでは説明できない場面もあった。

今回は実際のプレーを振り返りながら、千葉がリバウンドを確保できなかった要因と、富山の優れたリバウンド前のポジショニングについて考えてみたい。

そもそもなぜオフェンスリバウンドは重要なのか?

簡単に言えば、得点を増やすには、確率の高いシュートを打つこと、もしくはシュート本数を増やすことが重要になる。

そして、そのシュート本数を増やす手段の一つがオフェンスリバウンドだ。

シュートが外れても、リバウンドを確保できれば再び攻撃できる。反対に、ディフェンスリバウンドを取れば相手の攻撃を終わらせることができる。

実際に今回の2連戦のスタッツを見てみよう。

指標

GAME1 千葉 / 富山

GAME2 千葉 / 富山

得点

93 / 100

78 / 83

eFG%

55.7 / 49.4%

46.2 / 42.0%

FGA

61 / 80

66 / 69

オフェンスREB

13 / 23

8 / 16

セカンドチャンスポイント

15 / 17

4 / 14

※eFG%は3ポイントの得点価値を反映したシュート成功率。

興味深いのは、2試合とも千葉がeFG%で上回っていること。それでも勝利したのは富山。

特にGAME1では、富山が千葉より19本も多くシュートを打っている。もちろん、これはリバウンドだけでなく、ターンオーバーの差なども関係している。また、GAME2ではセカンドチャンスポイントで14対4と、富山が10点も上回った。

つまり富山は、シュートが外れてもリバウンドを確保し、追加の得点機会を作っていたのである。

では、なぜ千葉はこれほど多くのオフェンスリバウンドを許してしまったのだろうか。

① ゾーンディフェンスはボックスアウトの責任が曖昧になる

この場面、千葉は渡邊雄太をトップに配置した1-2-2ゾーンを採用している。アンゴラに簡単にボールを持たせず、プレッシャーをかける狙いがあったと考えられる。

対する富山は、オーバーロードを使ってゾーンを攻略する。オーバーロード(Overload)とは、特定のエリアに人数を集めることで守備側の対応を難しくするゾーンの攻め方。動画では、右側のサイドに人を集め、コーナーで攻める。

富山はこの動きからオープンシュートを作り出すが、注目したいのはシュート中の各選手の配置。左ゴール下付近にいるラシード・ファラーズがフリーになっている。

特に、シュートは対角に落ちることが多く、この動画では左側のコーナーが落ちやすい。その場所にラシードがフリーになってしまっている。そのままラシードはリバウンドを確保し、得点。

マンツーマンなら基本的には自分のマークマンを抑えるが、ゾーンディフェンスは人ではなくエリアを基準に守るため、シュートが放たれた後、誰をボックスアウトするのかが曖昧になりやすい。

この場面でも、ラシードへのボックスアウトが十分にできていなかったように見える。この試合では、ゾーンディフェンス起因で責任が曖昧になり、オフェンスリバウンドを取られてしまう場面が多かったように見えた

② ミスマッチでファイトしないことで生まれるリバウンド

富山はスクリーンからディフェンスのズレを作り、アンゴラがアタックする。このプレーでは、スクリーンへの対応によってマッチアップが変化し、ラシードと瀬川琉久の間にサイズのミスマッチが生まれている。

ここで気になったのがボックスアウトだ。瀬川とラシードの間では、十分に身体を当てて相手を押し出す動きが見られなかった。

もちろん、サイズやフィジカルの差を考えれば、瀬川が不利になるのは理解できる。しかし、相手をリングから遠ざけたり、身体を当てて自由にジャンプさせないようにしたりすることはできるはずだ。

たとえ自分でリバウンドを取れなくても、相手の動きを制限すれば、味方がボールを確保しやすくなるためファイトは欠かせない。

③ ボールウォッチしてしまうことによるボックスアウトの遅れ

アンゴラが難しい体勢から3ポイントを放った場面。

千葉は簡単なシュートを打たせておらず、ここまでは良いディフェンスだったと言えるだろう。しかし、シュートが外れて大きく跳ねたボールを、富山の#21ダラル・ウィリス ジュニアが確保する。

ここで気になったのが、ボールウォッチだ。シュートが放たれると、どうしてもボールの行方を目で追ってしまう。

しかし、ボールばかりを見ていると、リバウンドに参加してくる相手を見失ってしまう。シュートが放たれた瞬間に相手の位置を確認し、先に身体を当てることが重要になる。

この場面では、ボックスアウトの準備が遅れたことで、ダラルにリバウンドを許してしまった。こういったボールウォッチのシーンが多かったように思う。

④リバウンド前のポジショニングで負けてしまっている

ここまでは千葉がリバウンドを許した要因を考えてきたが、富山のポジショニングにも注目したい。

リバウンドは、ボールが落ちてきてからジャンプするだけのプレーではなく、相手より先に有利な位置を確保できるかどうかにかかっている。

GAME2の3Q残り7:16 |シムズが先にポジションを確保した場面

富山の#2アミール・シムズがリバウンド争いからファウルを獲得した場面だ。

シムズは先に有利なポジションを取り、相手がリバウンドに向かうスペースを制す。

結果的に千葉の選手は不利な位置から競り合うことになり、ファウルを犯してしまった。

このプレーは、リバウンドにおけるポジション取りの重要性がよく分かる場面だった。

GAME2 4Q残り約1:56 | 岡田雄三が見せた勝負どころのリバウンド

第4Q残り約1分56秒。千葉68-74富山と、富山が6点をリードしている場面。

アンゴラが3ポイントを放った瞬間、岡田は富樫勇樹よりもリングに近い位置を取り、オフェンスリバウンドに飛び込む。

そのボールがダラルにつながり、最後はダンクで8点差となった。

もし千葉がリバウンドを確保していれば、6点差を縮める攻撃に移ることができた。しかし、富山は攻撃を継続し、さらにリードを広げた。

試合終盤の大きなプレーだったと思う。

そして、このリバウンドに絡んだのは外国籍ビッグマンではなく岡田だった。

岡田は富樫とのサイズの優位性を生かし、先に良いポジションを確保していた。

リバウンドは、必ずしも身長の高い選手だけが取るものではない。誰と競り合うのか、どの位置を取るのか。こうした判断もリバウンドでは重要になる。

リバウンドをチーム全体で習慣化する難しさ

今回の2連戦を見て、改めて感じたのがリバウンドを徹底する難しさだ。

私自身、これまでバスケットボールを続けてきたが、チーム全体でリバウンドを習慣化することは本当に難しいと感じる。

シュートが放たれたら相手を見つけ、身体を当て、有利な位置を確保する。一つひとつは難しいことではないように思えるが、これを毎回徹底するのは簡単ではない。

リバウンドは単に「もっと頑張ろう」と声をかけるだけでは改善が難しい。

ディフェンスはリバウンドを取って初めて終わる

今回の2連戦で、富山は合計39本のオフェンスリバウンドを獲得した。

シムズやダラルといった外国籍ビッグマンの強さはもちろん、岡田のような日本人選手も積極的にリバウンドへ参加していたことが印象的だった。

いかに相手より先に良いポジションを取り、チームとしてボックスアウトを徹底できるか。今回の2連戦は、リバウンドの重要性を改めて感じる試合だった。

次戦は、ここまで無敗の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。

富山の強烈なリバウンドが、名古屋を相手にどこまで通用するのか。楽しみである。